Colombia Einer Molano Washedのコーヒーを主題に、生産者が抱える問題点について触れさせて頂きました。


「コーヒーに宿る見えない重み」
2021年に標高1902メートルに位置する「Finca El Diviso (フィンカ・エル・ディビゾ)」の運営を引き継いだエイネルさんは、この農園でコロンビア種やカトゥーラ種などの品種を育てている22際の若き生産者だ。

そんなエイネルさんが頭を悩ませているのはチェリーの収穫を行うピッカーの雇用問題。
スペシャルティコーヒーは大量生産のコーヒーとは異なり、人の手で一粒一粒摘み取られていくが、完熟されたチェリーのみを丁寧にピックすることがクオリティに大きな影響をもたらす。
エイネルさんの農園では5月から7月のメインハーベストには10人から14人、10月から12月の収穫中期には1人から2人の労働者を雇用しているが、収穫量1kg毎に賃金が支払われ、食事と宿泊所が提供している。
ピッカーを正規雇用し、社会保障や年金などの費用を負担したいと考えているなかで、現状の経済面では彼自身や家族でさえ賄えていないのが現状だ。
現在多くの農園で労働力の過疎化が問題になっているが、収穫量で支払いが行われるので、収穫量の増大にコストを割いている国や、より稼げる職に移ってしまう。
また、さび病などで一度収穫量が落ちると雇うピッカーの数を減らさなければならず、翌年から呼び戻そうにも既に移住済みというケースもしばしば。
ピッカー不足により農園を手放した生産者もいる。


しかしピッカーも収入が得られる時期が決まっているため、より良い給与を求めていかなければならない。良質なコーヒーを生産するためより良いピッカーを毎年安定して確保しなければならず、そのためにいい条件でピッカーを雇用しなければならないのだ。
エイネルさんはピッカーの賃金に販売収入の50%を消費しその他に肥料、輸送、メンテナンスのために多くの費用を費やしている。ピッカーの正規雇用どころか農園のインフラを整えるための資金も十分ではないと教えてくれた。
今回のケースは稀ではない。多くのコーヒー農家はエイネルさんと同じような資金面での悩みを抱えている。生産者の収益を増やすためにも透明性の保たれた取引が重要だとeasecoffeeは考えている。
ダイレクトトレードやスペシャリティコーヒーの最大の魅力は、品質で価格が決まり、持続可能な取引が継続的に行われていくところにある。

高品質なものに対して正当な価格を支払うことで生産者には還元率が高まり、より高いモチベーションで生産に取り組むことができるのだ。
生産地や生産者の情報が明確であり、生産者と買い手の信頼関係を構築することによって安定した取引を目指すことができる。

一方で、生産者だけでなくバリスタも同じような環境下にあると感じることがある。
国内では正規雇用としての働くバリスタは少なく、多くがアルバイト雇用であるが、バリスタ需要の高いオーストラリアでは平均時給が2600円から2800円であるのに対し日本では半分以下の1200円から1300円が平均時給だ。
日本でのバリスタの認知度も他国と比べると低いように感じるが、このような現状で別の職に移っていく方も多い。多くのバリスタが収入に対する不安を持っているからだ。
コーヒーが好きという理由だけでは続けていく事ができる未来は訪れるのか。
コーヒー事業に関わる方の地位向上も私たちの目指すコーヒーの未来の一つ。



リアルを届けるオリジンストーリーズ。今月はコロンビアの生産者のリアルについて触れさせていただきました。